
前回「これがわからないとエンジニアにはなれないシリーズ。IPアドレスとは?」で解説した IP アドレスですが、この記事ではさらに詳しく IP アドレスについて説明していきます。
- 人が扱う IP アドレス
- ネットワーク部とホスト部
- グローバル IP アドレスとプライベート IP アドレス
- 特殊な IP アドレス
人が扱う IP アドレス
まずは簡単に前回の記事のおさらいです。
前回の記事では、IP アドレスはネットワーク上のデバイスの場所を表しているものと説明しました。
そして、IP アドレスには、IPv4 と IPv6 の 2 種類がありました。
この記事では、現在最も使われている IPv4 について、深掘りしていきます。
IPv4 アドレスは、「11000000101010000110010000000001」のように、32 桁の 2 進数で構成された情報です。
コンピューターが扱うときには、この 2 進数のままでいいのですが、このままだと人間が見ても何を表しているかわかりません。
そこで、32 桁の 2 進数を 8 桁ずつに区切って、区切ったものを 10 進数に直して人間にもわかるように変換します。
先ほどの例でいうと、「11000000」「10101000」「01100100」「00000001」と、まず 8 桁ずつに区切ります。
そして、それぞれの 2 進数を 10 進数に直すと「192」「168」「100」「1」になります。
最後に、これらの数字を「.」でつないで「192.168.100.1」が、人間にもわかる形の IP アドレスとなります。
ネットワーク部とホスト部
IP アドレスには、デバイスが所属するネットワークの場所を表す「ネットワーク部」という情報とネットワーク内でのデバイスの場所を表す「ホスト部」という情報が含まれています。
住所でいうと「東京都渋谷区恵比寿一丁目 15 番 9 号 シルク恵比寿」までがネットワーク部で、「403 号室」がホスト部のようなイメージです。
IP アドレスの 32 桁の数字には、ネットワーク部の情報が先にあって、その後ろにホスト部の情報が記載されています。
そして、「サブネットマスク」という情報を使って、32 桁のうち何桁目までがネットワーク部なのかを表しています。
サブネットマスクは、「/24」のように表され、この例だと 32 桁のうち、頭から 24 桁目までがネットワーク部であることを表しています。
先ほどの「192.168.100.1」という IP アドレスも、「192.168.100.1/24」と書かれれば、「192.168.100.0」というネットワークの中の「.1」という場所になりますし、「192.168.100.1/16」と書かれれば、「192.168.0.0」というネットワークの中の「.100.1」という場所になります。
グローバル IP アドレスとプライベート IP アドレス
IPv4 アドレスには、グローバル IP アドレスとプライベート IP アドレスの 2 種類があります。
グローバル IP アドレス
グローバル IP アドレスは、インターネットに接続されるデバイスに割り振られる IP アドレスのことです。
インターネットに接続する世界中のデバイスで、必ず他のデバイスの IP アドレスとは被らないように、一意な IP アドレスが割り振られています。
グローバル IP アドレスは、ICANN という機関で管理されています。
プライベート IP アドレス
プライベート IP アドレスは、LAN 内で一意に割り当てられる IP アドレスのことです。
こちらは、利用者が自由に設定することができ、使用する際に申請などが不要です。
ただ、プライベート IP アドレスでは、インターネットでの通信を行えないため、インターネットで通信を行うときには、アドレスを変換して、グローバル IP アドレスを持つ機器に通信を中継してもらう必要があります。
プライベート IP アドレスは、「10.0.0.0 ~ 10.255.255.255」「172.16.0.0 ~ 172.31.255.255」「192.168.0.0 ~ 192.168.255.255」の範囲から使う必要があります。
特殊な IP アドレス
IP アドレスには、いくつか特殊な IP アドレスがあります。
それぞれの特殊な IP アドレスには役割があるので、紹介します。
名前 | IP アドレス | 説明 |
---|---|---|
ネットワークアドレス | ホスト部が全て「0」の IP アドレス | ネットワークそのものを表現するときに使用される |
ディレクティッドブロードキャストアドレス | ホスト部が全て「1」の IP アドレス | あるネットワークに所属しているホスト全てに対して通信をするときに使用される |
– | 0.0.0.0 | IP アドレスがわからない場合などに使用される |
リミテッドブロードキャストアドレス | 255.255.255.255 | そのデバイスが所属しているネットワーク全体に対して通信をするときに使用される |
ループバックアドレス | 127.X.X.X | ホスト自身を表す IP アドレス |
マルチキャストアドレス | 224.0.0.0 ~ 239.255.255.255 | 特定の相手を対象として、1 対多の通信を行うための IP アドレス |
いかがだったでしょうか。
IP アドレスは、IT の基礎中の基礎ですので、エンジニアを目指す方は、最低限この記事の内容は理解しておいた方が良いかと思います。
IP アドレスとネットワークの関係を理解していただけたかと思いますので、次回は実際に IP アドレスを使った通信の流れについて、説明したいと思います。